英検®は、公益財団法人 日本英語検定協会の登録商標です。このコンテンツは、公益財団法人 日本英語検定協会の承認や推奨、その他の検討を受けたものではありません。

ごあいさつ

初めまして、Yuriと申します。関東地方在住のワーママです。
私大法学部出身、留学経験はなく、英語を使う仕事に就いたことも、残念ながらありません。このような経歴ですが、Inspire Englishの英検®集中対策コースを受講し、英検準1級にはスピーキング満点で一発合格。その後、昨年夏に英検1級に向けた勉強を始め、2021年第1回の二次試験に合格しました。

…とさらりと書きましたが、1級の二次試験(面接)には相当苦労しました。一次に合格した回の二次試験は棄権、その後も一度不合格となり、もう挑戦をやめてしまおうかと思ったこともあります。「なぜこんなにしんどいことを続けているんだろう?」と思ったことも一度や二度ではありませんでした。
ですが、それを乗り越えて合格したときの喜びと達成感はやはりひとしおでした。

そこで今回は、同じような状況で学習方法に迷っていらっしゃる方に宛てて、「英語と馴染みの薄い環境にあっても二次試験に合格できる」勉強法について、実際に利用した他スクールやサービスの情報も含め、書かせていただきたいと思います。
裏技的な要素はほとんどなく、時間もお金もかかる方法ではありますが、皆さまのお力になれる内容がありましたらうれしいです。

はじめに

まず最初に、私の英検に関する経緯は以下の通りです。

  • 準1級合格 2019年第3回
  • 1級一次合格 2020年第2回 ※この回の二次試験は棄権
  • 1級二次受験 2020年第3回 素点24点(内訳:6、6、6、6) 不合格
  • 1級二次再受験 2021年第1回 素点39点(内訳:10、10、9、10) 合格

2020年第2回の一次試験合格直後は「2分間話し続けるなんて到底無理。Q&Aも言いたいことはぼんやり思い浮かぶけど英語にできない」という状態でした。
原因は、準1級合格後に子供の保育園が一斉休園となったことで英会話を継続できず、その後も一次試験の英作文に注力しすぎるあまり、レッスンを再開しそびれてしまったことです。
合格できる自信が全くない状態でしたので、この回の二次試験は棄権しました。
(もったいないというコメントもいただきましたが、ここで無理して試験を受けていたら、打ちのめされて次回へのモチベーションを失っていたような気がしています…)

その次の2020年第3回の二次試験は、自分なりに準備して臨んだつもりだったのですが、ここでも素点オール6点で不合格となってしまいました。
敗因は、何をどう勉強したらいいかわからず、無計画にオンライン英会話ばかり続けてしまったことです。過去問を元にした対策が必要なのでは?と気づいたのが試験1か月前で、「間に合わなかった」というのが実感でした。

そこでこの失敗を元に(一週間ほど落ち込んだ後)、次回に向け戦略を練り直し学習を続けました。
その結果、次の試験ではCSE710点、素点も満点まであと1点という好成績を残すことができました。

前置きは以上です。
次は、補強すべきスキル、知識は何だったのか?ということをお話しします。

【Part1】分析、戦略編

最初に、自分に足りないスキルを分析します。
課題とその対策を以下の6つに分類しました。

課題 対策
スピーキングスキル
①瞬発力 瞬間英作文
②総合運用力 オンライン英会話と独り言
③発音 ELSAアプリ
試験対策
④トピックに関する知識の収集と整理 スピーチ原稿作成と再現練習(定番トピック→得意分野)
⑤Q&A=スピーチのBody paragraphの答え方 構成の分解、パーツごとの練習(メインセンテンス1文→3~4文)
⑥スピーチ 構成の分解、パーツごとの練習/テンプレート化、模擬試験

(1)スピーキングスキル

①瞬発力、②総合運用力、③発音

何よりも「話したい内容に英語が追いつかない」という状態を脱する必要があり、瞬間英作文とオンライン英会話を毎日継続しました。
また発音も6点しか取れなかったので、ELSAアプリでの学習を取り入れました。

(2)試験対策

④トピックに対する知識の収集と整理、⑤Q&A(=スピーチのBody paragraph)の答え方の習得、⑥2分間のスピーチ

次の試験までは3ヶ月と少しでしたので、(1)でベースを固めつつ、試験対策も並行して進める必要がありました。
④に関しては、二次試験の幅広いトピックの中でも、頻出の内容に絞ってスピーチ原稿を作ることから始めます。また⑤、⑥については、いきなりスピーチに挑むのはハードルが高かったため、④のトピックに関連する内容について、自分のスタンス(AgreeかDisagreeか)とその理由となる2つの主張を述べることに的を絞って練習しました。
スピーチについても構成を細分化し、それぞれのパーツについての対策を始めました。

習得すべき内容がわかったところで、それぞれの学習を習慣化していきます。

【Part2】学習時間、ロードマップ編

二次試験に向けた勉強時間は、1日平均3〜4時間でした。

時間配分

1日の学習内容は、大まかに以下の通りです。

机に向かう時間:1時間半〜2時間

トピックに対する主張(理由)と事例を調べつつ考える/スピーチ原稿作成/添削結果の復習/ノート(ネタ帳)作り等

一番まとまった時間が必要となります。
朝5時頃に起きて、子供達が起きてくる7時までの間を充てていました。

隙間時間 : 30分〜数時間

教材のシャドーイング/独り言

これはだいたい5分〜10分程度の隙間時間×積み重ねです。通勤時間、身支度や家事をしながらでも口と耳は空いているので、フルに活用できれば30分は軽く超えられます。

オンライン英会話 : 20〜50分+予習復習に30分

→レッスン内容はPart3以降で詳述します

平日は、昼休みか寝かしつけ後の夜の時間帯を充てていました。
元来が朝型なので、夜のレッスンでは頭が回らず、もどかしい思いをよくしていました。

◆おまけ◆ ながら時間(在宅勤務時等): 2〜3時間

教材音源、ニュースアプリ流し聞き

隙間時間ほど集中はできないけど耳は空いている、というときは、気負わず音声を流し聞きしていました。
その際のお勧めはWBURBoston’s NPR news station)です。 社会問題を討論していることが多く、内容そのものに加え、相槌や反論の仕方等も勉強になります。

アプリ

こうして振り返ると、必要な勉強時間は1日最低3時間程になるかと思います。
スピーキングスキルの向上と試験対策を並行して進めようとすると、このくらいの時間を費やす必要がありました。

ロードマップ

タスクを月ごとに落とし込むと、以下のような図になります。
※試験日は7月11日でした

タスク 3月 4月 5月 6月
ベース作り(スピーキングスキルの補強)【Part3】
① 瞬発力:瞬間英作文        
 *スラスラ話すための瞬間英作文シャッフルトレーニング        
② 総合運用力:オンライン英会話と独り言        
 *バリューイングリッシュ スキルアップコース        
 *フルフル(練習用英会話)        
 独り言        
③ 発音        
 *ELSA        
インプット(トピックに関する知識の収集と整理)【Part4】
定番トピック        
④-1 定番トピックの主張(理由)と事例を検討        
④-2 定番トピックのスピーチ原稿の作成        
④-3 定番トピックのスピーチ原稿の再現練習        
④-4 得意分野の強化        
 スピーチ原稿の作成        
 スピーチ原稿の再現練習        
アウトプット【Part5】
Q&A/スピーチのBody paragraph        
⑤‐1 メインセンテンスの練習        
⑤‐2 3~4文で話す練習        
 *らいひよ(二次試験準備コース)        
スピーチ        
⑥-1 問題文のパラフレーズ        
⑥-2 IntroductionとConclusionのテンプレート作成        
⑥-3 2分間のスピーチ        
⑥-4 オンライン英会話で模擬試験        
 *バリューイングリッシュ 二次試験対策        
 *Inspire English        

それぞれの詳細は、後半のパートで説明させていただきますね。

【Part3】学習内容編その1 ベース作り(スピーキングスキルの補強)

ここからは学習内容の詳細です。
まずはベース作り=スピーキングスキルと発音の補強のために取り組んだ内容をご紹介します。

① 瞬発力:瞬間英作文 | 3~1か月前

「スラスラ話すための瞬間英作文シャッフルトレーニング」を使いました。

「スラスラ話すための瞬間英作文シャッフルトレーニング」

日本語文を見て口頭で英訳文を作る「瞬間英作文」は、既に超有名ですし初心者向けと思われがちですが、青い本(どんどん話すための瞬間英作文トレーニング)とは違い、こちらになるとすんなり英語に変換できない項目が多かったです。
最初はショックを受けましたが、これができるようになると、語彙不足の場面を除き、どう表現したらいいかわからない…と戸惑う状況はかなり減りました
ちなみに学習範囲ですが、Training1とTraining2のPart1まででいいと思います。それ以降は少し複雑すぎるように感じます。私の場合も、この範囲までの学習で語彙・文法の9点が取れましたので、それ以上の込み入った文法を背伸びして使う必要はないと思っています。

② 総合運用力:オンライン英会話と独り言 | 3か月前~

スピーキングスキルのベース作りとしては、好みに合うオンラインスクールで場数を踏むのがベストだと思います。
試験に近い内容で練習したいという方のために、私が主にお世話になった先をご紹介します。

バリューイングリッシュ

英検を始めとする試験対策に強いオンライン英会話スクールです。講師はフィリピン人で、英検の試験内容をよくご存知です。
「二次面接試験対策コース」が有名ですが、ここでのお勧めは「スキルアップコース」です。二次試験対策コースより低単価ですが、同じ講師陣に担当してもらえるため、英検のQ&Aで問われるような質問を投げかけてもらえます。
また、最近新設された「教養基礎コース」も、英検的なトピックに対して自分の意見を述べる練習に特化しており、二次試験の入門編として良さそうな印象です。
録画やレッスン後のフィードバックはないため、レッスン直後の復習が鍵となります。
予約は前日まで。試験の直前はかなり予約が取りづらくなります。

フルフル(Fruitful English)

ネイティブ講師の「フルフル」コースは高いので…お勧めは「練習用英会話」です。
フィリピン人講師との20分のレッスンで、レッスン後のフィードバックに加え、Skype録画とAIによる書き起こしが返ってくるので、復習がしやすいです。
デメリットとしては、2日前までに予約をする必要があり、また時間帯によってはやや予約が取りづらいです。また全ての講師が英検に詳しいというわけではなく、トピックは自分で持ち込む必要があります。
相性のいい先生を見つけることができれば、コスパがよいと思います。

番外:Native Camp

20年第2回の試験に向けて利用していました。
講師を選ばなければ、思い立ったときにいつでも受講できるのがメリットです。また、予約が必要ですが、英検対策をしてくださる日本人講師もいらっしゃいます。
デメリットとしては、やはり講師の質にばらつきがあるところです。
レッスンメニューのお勧めは、デイリーニュース5-minuteディスカッションです。英検トピックに近いものを選ぶのがよいと思います。

上記に、後述するInspire Englishと、Twitter上の学習仲間に紹介してもらった日本人の先生による個人レッスンを組み合わせて、毎日必ず一コマは英会話をするようにしていました。

独り言

オンラインレッスンの前後の自主練として、過去問や参考書のトピック、またレッスンの復習等、時間を見つけて英語で独り言を呟いていました。
具体的には、それまでのレッスンでうまく言えなかった箇所を言い直すことが多かったです。また、トピックの練習をするときは、スピーチのBody paragraphに該当する部分をよく口に出していました。(Part5の⑤で詳しく説明させていただきますね)。
いきなり口頭だと頭が混乱してしまう、という方は、まずは要点をメモ書きしてからでもいいと思います。
またここでは、英語で表現できない内容(知っている表現でも言い換えできない固有名詞や事象)についてはあまり考えこまず、和英辞書や翻訳サイトのDeepLに頼っていました。

③ 発音矯正: 「ELSA」アプリ | 3か月前~

複数の合格者の方が推薦されていたのを見て、「ELSA」アプリのライフタイム会員になりました。英単語〜英文(読み上げあり)について自分の音声を録音すると、スコアと、一音ごとの発音の良し悪しが表示されます。
英検に向けては、あまりストイックに高スコアを目指す必要はないと思いますが、苦手な箇所を把握するだけでも、その後の上達に役立つと思います。
ちなみにいまだにどうしてもOKをもらえない箇所はよく出てくるので、その時は一旦諦めています。発音上手になりたいです(それでも英検の発音満点は取れます)。

アプリ

ここまでの内容は、主にスピーキング力の向上を目的としていますので、既に十分なスキルをお持ちの方には物足りない内容かと思います。
逆に「試験対策以前に話すのが苦手」という方は、まず上記の方法で会話力のベースを固めることで、このあとの試験対策がだいぶ進めやすくなるはずです。

これ以降は、試験対策をどのように進めたかという部分についてお伝えしたいと思います。

試験対策編はPart4のインプット編とPart5のアウトプット編に分かれます。便宜上2つのパートに分けていますが、学習時期は重複しますので、前掲のロードマップも参照しつつ読み進めていただければと思います。

【Part4】学習内容編その2 インプット(トピックに関する知識の収集と整理)

「インプット」編ですが、市販の参考書のモデルスピーチの単純な暗記はしません。私の場合は自分の言葉で準備しないと再現ができなかったので、手間はかかりましたが、スピーチ原稿を自作することを選びました。

ちなみにTaka先生からも、二次試験のスピーチは、ネイティブであっても準備なしでは難しいと伺っていました。英語力を測る試験なのでは?と疑問に思ったりもしましたが、受験者は、二次試験が単なる英会話力の試験というわけではないということも理解しておく必要があると思います。

※参考:各級の目安(日本英語検定協会)

上記を踏まえて、スピーチへの対策がどれだけできたかが鍵となります。とはいえ(初期の私のように)2分間話し続けることを考えただけで気が遠くなるという方もいらっしゃるはずなので、スモールステップをどう積み重ねていくのか、詳しくお伝えしたいと思います。

使用した参考書

まず、使用した参考書ですが、主なものは以下の通りです。

「英検1級 面接大特訓」

内容が古いなどという口コミを時々見かけますが、直近の一次試験の英作文問題が掲載されていたことからもわかるように、まだまだ有用な本だと思います。狙い目は、関連Q&AトレーニングのQuestionです。
なお模範解答に使われている語彙は、少し難しく癖があります。このレベルで話せないとダメとは思わないでください

「最短合格! 英検1級 英作文問題完全制覇」

では実際どのレベルの語彙や表現で話せればよいか?という目安がこちらになると思っています。
一次試験の英作文をこちらの実践問題30のトピックで練習された方は、そのとき作成した原稿から、より再現しやすい2つのBody paragraphが話せるようになればOKです。

「英検1級 過去6回全問題集」

こちらは、一次試験前に購入済の方がほとんどかと思います。
二次試験の模範解答にもなぜかBody paragraphが3つありますが、本番は2つで大丈夫です。またこちらの模範解答はスピーチのパターンもバリエーション豊かですが、合格のためには1つのパターンを磨き上げる方がよいと思います。

「14日でできる! 英検1級 二次試験・面接 完全予想問題 改訂版」

最近改訂出版されたことに受験が終わってから気づいたのですが、これから受験するならこちらも買うかも、と思います。

次に、上記の参考書からどのように知識と表現のインプットを行ったかをご紹介します。

④-1 定番トピックについて、主張(理由)と事例を考える | 3〜2か月前

まずは繰り返し出題されている定番トピックに的を絞り、自分のスタンス(賛成か反対か)と、その理由となる2つの主張を考えていきます

肝心の定番トピックが何かということは、出題傾向を研究されているスクールであれば教わることができます。
独学の場合は、過去問に繰り返し出題されている内容(もちろん文章には毎回多少の変更が加えられています)、加えて複数の参考書に掲載されているトピックをピックアップすれば、ある程度は網羅できるかと思います。数としては20〜30本程度になるかと思います。
なお過去問にも時事系の流行り廃りがありますが、そこを気にするのは後からでも大丈夫です。

主張(理由)と事例の考え方ですが、「一次試験の英作文と同じ」です。自分の主義主張を貫く必要はなく、理由付けしやすい方を選んで構いません。
異なる点としては、Body paragraphは2つだけでよいです!また、英作文の過去問と二次試験の過去問には互換性がありますので、既に英作文で練習したことがあるトピックであれば、そこからより説得力のある2つの主張を抜き出して使えばOKです。

事例を新たに考える場合は、ニュース等を検索して探します。
思考しやすいのはやはり日本語なので、情報収集は日本語で問題ありません

④-2 上記④-1について、英語でスピーチ原稿を作成 | 3か月前〜

スピーチ原稿作成の際のポイントは、一次試験の英作文同様、型(Introduction、 Body paragraph1、Body paragraph2、Conclusion)を守ることです。これにより、流れが整って伝わりやすいスピーチになります。

スピーチの型

Introduction :短めの2〜3文(テンプレート/問題文のパラフレーズ)
Body paragraph1、Body paragraph2 :3〜5文(構成は主張、サポート(事例)、小まとめ)
Conclusion :1〜2文(テンプレート)

語数はだいたい160〜190語程度になるかと思います。このくらいの分量が、多すぎず少なすぎず、本番でも落ち着いて話すことができる分量になると思っています。

IntroductionとConclusionはテンプレート化できるので、早めに自分のパターンを作成してしまいましょう。テンプレートのバリエーションは英検対策のレッスンの中で教わるか、参考書から覚えやすく汎用性の高そうなものを見つけます。

またIntroductionでは、まずトピックに対して賛成か反対かを述べますが、その際に出題文をそのまま繰り返すよりは、パラフレーズできた方がベターです。

作成したスピーチ原稿は添削に出すことをお勧めします。文法的なミスや論理性の改善のために、第三者からのアドバイスは非常に有効です。
私がお世話になっていたのはFruitful Englishの日記添削コースでした。Fruitful Englishには英検用に論理構成等を指導していただけるコースもあるのですが、低コストで数をこなすことに重点を置きました。
毎日1本書けば、3ヶ月で90本。少し頑張れば、合計100本も不可能ではありません。

④-3 原稿を音読、暗唱 | 3か月前〜

上記④-2で作成した原稿の内容を脳内にストックしていきます。
添削結果をネイティブの読み上げ音声付きにできればベストですが、高いので、自分で読んで録音したものを繰り返し聴いてもいいですし、添削結果をもう一度紙に書いてもいいです。自分に合った方法で、とにかく頭に入ればOKです。

なお、タイトルには「暗唱」と書きましたが、原稿を一言一句を丸覚えするのではなく、話の流れを再現できるようになることをゴールとします(丸覚えすると、後々言葉に詰まったときにフリーズしてしまうので)。

また、オンライン英会話も徐々に試験の内容に近づけていきます。具体的には、フリーカンバセーションを選択し、記憶したスピーチ原稿の内容を披露した後、その内容についてディスカッションをします(最初はスピーチが完成形でなくてもOKです)。
ディスカッションの際も、主張→サポート(私はこう思う、なぜなら〜)の型を意識します。こうすることで、ディスカッションがQ&A対策になります。

同時に、参考書等の中から、気に入ったものの音声をシャドーイングして、使える表現を盗んでいきます。
私は面接大特訓と過去問の音声をよく聞いていましたが、中には全く賛同できない意見もあったので(例えば「共働きの親は子育てに十分な役割を果たせていない」等)その場合は脱線して自分の意見を独り言していました。

④-4 得意分野の強化 | 2か月前〜

④-3までを積み重ねていく中で自分の得意分野が把握できてきたら、その分野については入手できる限りの過去問や予想問題に対して、スピーチ原稿もしくはスピーチの要旨のまとめノートを作成していきます。
これにより該当分野に関する知識を深められ、スピーチだけでなくQ&Aにも対応しやすくなります

他分野についても同様に対策 | 1か月前〜

ここは余裕があったらでよいです。④-4の範囲を徐々に広げていくイメージです。

以上の過程で頭の中に意見や表現をどんどんストックし、次のステップ(Part5)で、それらを口頭で表現する練習をしてきます。

◆おまけ1◆ 〜出題トピックに関する個人的な感想〜

大きすぎる枠組みの出題(宗教や文化、価値観等、例えば” Can people have strong moral values without religion?”のような問い)は話が漠然としがちで、説得力のある内容にするのが難しかったです。「人それぞれだし…」と思ってしまう自分の考え方の癖とフィットしませんでした。
もちろん人文、社会学に造詣が深い方はこの限りではないと思います。ご自身の専門分野に話を展開させることができれば、むしろ得意分野にできるかもしれません。

逆にあまりに具体的な問題も、その分野に詳しくない限り2つ目の主張を考えるのが難しいです。(例としては“Should animal hunting for sport be banned?“ “Should immigration for nursing care be promoted?”等が該当します)

結果的に、上2つの中間(上の例を踏まえると、例えば“Should animal rights be more protected?“ “Should Japan allow more immigrants into the country?” )が狙い目、ということになります。

トピック選びに困ったら

個人的なお勧めとしては、環境問題、動物の権利、女性やマイノリティの権利、教育の推進、差別や格差の解消に関するトピックを挙げたいと思います。
これらは「問題は解消されるべき/そのための対応が推進されるべき」と結論が決まっているため、スピーチのスタンスを決める際に悩む必要がありません。またQ&Aも課題の原因や対策もしくは関連事象への意見を問われる流れとなり、対応しやすいのです。

ただし、「経済発展vs環境保護」等、2つの項目が対比されているものはスタンスが分かれるため、難易度が上がります。片方が得意分野だからといって選んでしまうと、Q&Aで撃沈しかねないのでお気をつけください。

以下、Body paragraphでよく使っていた内容です。それぞれが推進されればメリット、退行してしまうならデメリットとなります。

推進されればメリットになるポイント

  • 経済発展、雇用機会の向上
  • 効率、時間や費用削減
  • Quality of life 向上
  • 権利、平等
  • 子供の保護、成長
  • 環境保護、温暖化解消

グローバリゼーション、資本主義の進行はメリットとデメリット両方に使えます。

推進がメリットにもデメリットにもなるポイント

  • グローバリゼーション
  • 資本主義

具体例を1つ挙げると、

  • グローバリゼーションの進行→経済発展というメリット
  • グローバリゼーションの進行→経済格差というデメリット

この例以外にもいろいろ当てはめられると思います。

温暖化、また温暖化を原因とする災害、貧困、紛争は、デメリットのみですね。

進行するとデメリットのみになるポイント

  • 温暖化や、温暖化を原因とする災害
  • 貧困
  • 紛争

環境問題は「改善されるべき」という全体的な結論は決まっているのですが、近年の英検では様々に切り口を変えて出題されており、やや難易度が上がっている印象です。

◆おまけ2◆

隙あらば独り言、といういつもの勉強がしんどくなった時には、SNSで英語のニュースアカウント(CNN、BBC等)を眺めたりしていました。時折、スピーチで使えそうな表現やネタが見つかったりもします。
…とはいえ、不合格となってから次回試験で合格できるレベルに到達するには、3か月間みっちり勉強してギリギリだったので、あまり気分転換に振れすぎないほうがよいです。この期間だけでも、モチベーション云々の前にとにかくやる!という姿勢が必要だと思います。

次で最後の章となります。アウトプットの練習内容をお伝えしていきます。

【Part5】学習内容編その3 アウトプット

いよいよ最後のアウトプット編です。インプット編でストックした内容を口頭で、かつ英検で求められる形式で、表現する練習になります。
「2分も話せない」という苦手意識は、パーツを細分化することで取り払っていきます。
⑤-1〜⑥-2はインプット編と並行しての練習となりますが、⑥-3まで来れば練習そのものが楽しくなってきますので、心理的にもスキル的にもゴールはもうすぐそこ!です。

⑤-1 Body paragraphのメインセンテンスを答える練習 | 3か月前〜

インプット編の④-1〜3と並行して取り組みます。スピーチ原稿を作成したトピックについて、Body paragraphの主張に該当する最初の1文だけを英語で言えるように練習します。
④-3で作成したノートや、1、2の段階であれば形式は何でもいいので(メモ帳、カード、Excel等)、問題文とそれに対する主張2つを書き出しておいて、その中からトピックを1つ選ぶ→Body paragraphの最初の主張の1文(最初は1つ、できれば2つ)を口に出して答えるようにします。

⑤-2 Body paragraphを3〜5文で話す練習 | 2か月前〜

インプット編の④-2〜3と並行して取り組みます。スピーチ原稿の2つのBody paragraphを口頭で再現できるようにする練習です。Body paragraph1つにつき、3〜5文が必要となりますが、これも分割すると「主張1文、サポート(事例)2〜3文、小まとめ0〜1文」となりますので、その形を意識しながら、トピックを見る→Body paragraph1つ、できれば2つを口に出して答えるようにします。すると、Body paragraph1つが概ね40〜45秒に収まるはずです。

Body paragraphの構成 = Q&Aの答え方

主張 :1文
サポート(事例) :2〜3文
小まとめ :0〜1文

(約40~45秒)

主張→サポートという答え方はQ&Aでの答え方そのものですから、この型に論理的な内容を当てはめられるようになれば、Q&Aは怖くありません。
私自身は、らいひよの「英検1級二次試験準備コース」でこの形式での答え方を特訓した結果、だいぶ早い段階でQ&Aは大丈夫と思えるようになりました。
ちなみに「スピーチ原稿で準備した以外のトピックにも対応できるようになるか」という疑問に正直にお答えすると、全く準備したことがないトピックに対しては、今でも、合格レベルのパフォーマンスを発揮できるかは怪しいです。
繰り返しになりますが、1級の二次試験では英語会話力そのものだけではなく、幅広いトピックについて自分の意見を言えるよう「準備する」ことが求められていますので、会話力そのものを伸ばすことに加え、試験自体への対策も非常に重要となってきます。

⑥-1 トピックのパラフレーズ練習 | 2か月前〜

④-2のスピーチ原稿作成で着手済ですが、Introductionで自分のスタンスを述べる際に問題文をパラフレーズできるよう、口頭でも隙間時間に練習されることをお勧めします。
…と書いておきながらですが、私自身はこれが苦手で、主語⇔目的語が精一杯でした。 例えば、” World peace is an achievable goal” → ” We can achieve world peace” というようなレベルです。シンプルですが、これでも大丈夫なようです。

⑥-2 テンプレート作成 | 早いほどあとが楽

こちらも④-2で着手済ですが、IntroductionとConclusionのテンプレート化に加え、スピーチの時間が余ってしまった時のために、Conclusionに追加できる一文を用意できると安心です。私は“The international community/The government should make more efforts to solve this problem.” を万能フレーズとして使っていました。

実際、本番では緊張のあまり早口になってしまい、スピーチ終了後に“ Are you finished?” と聞かれてしまったのですが、上記の文を付け加えたところでちょうど2分のタイマーが鳴り、試験官と目が合ってお互いにニヤリとしたことを覚えています。

さらに、スピーチの前の雑談ですが、これはかなりの確率で“Please introduce yourself.” ではないかと思います。そのため自己紹介のテンプレも作っておくと安心です。職業→プライベートの話題の順で、1分以内に収めることができればOKです。

面白いことを言おうと頑張る必要はありませんが、個人的にはここでも“because〜“を使うことを意識していました(「仕事での目標は◯◯です。なぜなら〜」という流れでした)。
ここは採点対象外とされていますが、そうは言っても受験者の印象を左右する場面になるはずなので、準備しておいて損はありません。

⑥-3 2分間のスピーチ | 1か月前〜

最後の仕上げです。今までに作成したノートやネタ帳のトピックについて、2分間話し切る練習をします。また自信のあるものだけでもよいので、録音して聞き返し、改善点を見つけます
録音と聞き返しは多くの方にとって気の進まないタスクだとは思いますが、無言の時間が長かったり、フィラーが多かったり、Body paragraph1で長々と話しすぎていたり、LとRの発音がまずかったり…いろいろ見つかります。

⑥-4 模擬面接 | 1か月前〜

オンライン英会話のレッスンも、模擬面接に切り替えます。本番に近い緊張感の中で、時間の感覚を身に着け、またスピーチとQ&Aの論理性や整合性をチェックしてもらいましょう。

スピーチとQ&Aの一貫性を保つために

スピーチを首尾よく終えられても、Q&Aで矛盾する主張をしてしまうことはよくあります。
例えば「環境保護の推進が必要だ」というスピーチでの主張に対して、「環境保護の推進により経済発展が阻害されることについてはどう思いますか?」と質問された場合、一貫性のある回答とするにはどうすればよいでしょうか?
「場合によっては環境保護の優先度を下げる必要がある」という回答ですと論理破綻を招いてしまうため、もし私でしたら、「環境保護のための技術開発や環境に優しい製品の導入は、経済発展にも寄与する」というような答え方をします。

このような実戦形式のやりとりを通して、論理的な主張を展開できるよう練習を重ねていきます。
本番に向けて自信をつけていきましょう。

ここで、私が受講したオンラインレッスンをご紹介します。

バリューイングリッシュの英検1級二次面接試験 対策コース

Inspire Englishの英検®集中対策コース

詳しくは合格体験記をご覧いただけたらと思うのですが、さらに付け加えると、出題傾向の分析が素晴らしいです。本番の素点39点は、Taka先生とほぼ同じトピックの練習をしたことがあったからこそ獲得できたスコアです。

終わりに

英検1級二次試験対策のご紹介は以上となります。長文にお付き合いいただき、ありがとうございました。
ここまでの学習の結果、本番で「話せそう」と思ったトピックは5本中2本。スコアは素点で、SHORT SPEECH:10、INTERACTION:10、GRAMMER AND VOCABULARY:9、PRONUNCIATION:10の合計39点でした。

帰国子女も多く受験される中、留学経験がない受験者が文法と発音でいきなり高得点を取ることは難しいはずです。そこで、スピーチとインタラクションを得点源とすることが有効と考え、上記のような対策を取りました。
スピーキングスキルの向上に加え、話す内容そのものの準備も必要となるため負荷は大きいですが、必要な学習を積み重ねれば結果は必ずついてきますので、頑張ってください!
記事の内容がお役に立てましたら幸いです。

◆最後のおまけ◆

しばらくはマスク着用での受験が続くと思いますが、本番のマスクの形は立体型がお勧めです。マスクが口に張り付かないため、プリーツ型と比べ、特に子音がきれいに出せるように思います。

皆さまが本番で実力を発揮され、合格を掴み取られることをお祈りしています!

学習アドバイザーAzusaの英検®1級二次試験対策法はこちら

講師Takaの英検®1級二次試験対策法はこちら

対策法動画まとめ①

対策法動画まとめ②
英検®1級二次試験対策のコツ

英検®1級スピーキング集中対策コースご受講受付中!

Inspire Englishレッスン
プロのネイティブ講師による英検®1級の二次試験(スピーキング)指導で、伝わる英語を自信を持って話せる!英語/日本語を自由に切り替えられるバイリンガルレッスンなので、合格にぐっと近づきます!!

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA